大手企業の場合は福利厚生制度の一つとして「財形貯蓄」を導入されている会社が多くあります。新入社員のときに、最初の研修等で勧められて、なんとなく加入した方は多いものの、実際に財形貯蓄のメリット、他の保険商品との違いについて把握していない方も少なくないでしょう。 

「財形貯蓄」は毎月給与から一定額を自動に引き落としになっており、手続きなども簡単なため、お金を貯蓄したい方にはオススメしたい制度です。実は「財形貯蓄」は貯蓄目的に合わせていくつかの商品が設けられており、ご自身に合った商品を選ぶことができるのも魅力の一つと言えます。 

こちらの記事では、財形貯蓄の仕組み、種類、加入するメリットなどについて詳しくご紹介しますので、会社に財形貯蓄がある方はぜひ参考にして頂けますと幸いです。

1、財形制度とは?

一般に“財形制度”と呼ばれる「勤労者財産形成促進制度」は、勤労者財産形成促進法に基づき、企業が雇用する社員の財産づくりを支援する制度です。

この制度は「企業が毎月の給与から一定額を天引きして、提携している金融機関にお金を預ける」というもので加入は任意になります。

また、財形制度は企業が導入している福利厚生の制度の一つになりますので、個人での加入はできません。

2、社員が受けられる財形制度とは?

この財形貯蓄という制度は資金の使用目的によって 

  • (1)一般財形貯蓄
  • (2)財形住宅貯蓄
  • (3)財形年金貯蓄

の三種類に分けることができます。また、この三種類の財形貯蓄のいずれかに加入している方であれば、「財形持家転貸融資」という融資も受けられるようになります。

財形持家転貸融資も含め、それぞれの仕組みについて見てみましょう。 

(1)一般財形貯蓄

一般財形貯蓄の場合は、その貯金に対して使用目的は自由です。幅広い目的で使用できますので、使用目的を特定せずに貯金を考えている方にオススメです。

貯蓄金額に関しては、給料の範囲内であればご自身で決めていただいて大丈夫のようです。 

なお、「一般財形貯蓄」には、「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」とは異なり、利子等非課税の優遇措置はなく、利子に対して20.315%が課税されます。 

また、貯蓄開始から1年を経てば、いつでも自由に引き出し可能となります。 

(2)財形住宅貯蓄

財形住宅貯蓄の場合は、使用目的はマイホームの建設・購入・リフォームなど、住まいの資金づくりに限ります

財形住宅貯蓄の貯蓄金額も、給料の範囲内であればご自身で決めていただいて大丈夫のようです。

「財形年金貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで、利子等に税金がかかりません。 

ただし、住宅の建設・購入・リフォーム以外の目的で引き出した場合は要件を満たさないため、利子等に課税されます。とは言え、今の日本ではほとんど利子がつかないことになっていますので、たかが知れてる金額になります。

なお、加入条件は55歳未満の勤労者が対象となります。 

(3)財形年金貯蓄

財形年金貯蓄の場合は、名前の通りに60歳以降に年金として受け取るための老後の資金づくりを目的としています。

「財形住宅貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで利子等に税金がかかりません。(保険などの商品の場合は、払込額385万円までが非課税)。

ただし、財形年金貯蓄も同様年金以外の目的で引き出した場合は要件を満たさないため、利子等に課税されます。 

こちらも財形住宅貯蓄同様、加入条件は55歳未満の勤労者になります。 

(4)財形持家転貸融資

「財形持家転貸融資」は、財形貯蓄を行っている勤労者が利用できる住宅ローンです。財形貯蓄の残高に応じた融資を、事業主(事業主団体・福利厚生会社を含む)を通じて、長期・低利で受けることができます。

住宅の建設・購入(中古住宅も含む)・リフォームに利用でき、融資限度額は、財形貯蓄残高の10倍以内、住宅の建設・購入・リフォームに要する費用の90%以内で最高4,000万円までとなります。

融資を受けるための主な条件は下記の通りになります。

  • ご自分で所有および居住するための住宅を建設・購入・リフォームしようとする方
  • 借入申込日において50万円以上の財形貯蓄残高を有している方
  • 借入申込日の2年前の日から借入申込日までの期間内に、財形貯蓄契約に基づく定期の積立てを行っている方
  • 継続する1年以上の期間にわたって、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」のいずれかを行っている方、または行っていたことのある方
  • 申込日現在、70歳未満の方、完済時年齢が80歳までの方

3、財形貯蓄に加入するメリットは?

では、財形貯蓄にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 

以下の3つのメリットが挙げられます。 

(1)強制貯蓄

毎月の給与からの天引きになるので、自分で貯蓄することが苦手な方、手元にお金があるとついつい使ってしまうという方は、こつこつ貯められます。 

(2)税的優遇

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では、550万円までは利息に税金がかかりません。 

現在の銀行金利が0.01%という状況なので、550万円に対し550円の利息を得ることになります。

なお、一般財形貯蓄が利息に対して20.315%の課税になるので、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の場合、「550円×20.315%=111.7325円」年間約112円分を支払う必要がないことになります。 

(3)財形持家転貸融資を受けられる

財形貯蓄を考えられる方の最大のメリットはここになってくるかと思われます。将来の住宅購入資金をこつこつ貯めながら、最高4,000万円まで融資が長期・低利で受けられます 

4、法人が財形制度を導入する場合の手続きは?

財形制度を会社の福利厚生制度として導入したいと考えている経営者もいらっしゃるでしょう。 

企業が財形制度を導入するためには下記の手続きが必要になります。

(1)財形を取扱う金融機関と導入の相談をする

社員のニーズや社内の事務手続きを考慮して、取扱金融機関を選定する。労働組合等の同意を得て、選定した取扱金融機関と相談をしながら、福利厚生制度として社内規定を作成する。 

(2)給与天引きの合意・労使協定

企業が社員の給与の一部を控除して、社員に代わって取扱金融機関に払い込むことが財形制度の要件になるため、労使協定を締結することが必要です。

(3)金融機関と覚書などを交わす

取扱金融機関との間の事務処理を円滑に進めるために、覚書などを取り交わすこと通例となっています。 

(4)社員へ財形制度の説明をして、加入募集する

社員に対して説明を行い、契約希望者を募ります。契約希望者に申込書を記入してもらい、これを取扱金融機関に提出して契約を締結します。

(5)財形貯蓄がスタートする

社員ごとに財形貯蓄の積立額の確認を行い、毎月の給与やボーナスから控除のうえ、契約金融機関毎に積立金額をとりまとめて送金します。 

加入時の流れについて詳しく下記フロー表を参照にしてみてください。

 
出典:独立行政法人「勤労者退職金共催機構

まとめ

今回は財形制度について書きましたが、仕組みについてご理解頂けましたでしょうか。

財形は税制上のメリットが多くはないことや利回りを狙える制度ではないため、別の金融商品を用いて節税をしたいとか効率的にリターンを狙いたいという方も多いかと思われます。

そんな中、自分で貯蓄をするのは苦手だけど将来的にはマイホームを購入したいと考えている方にとっては選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。