子供の教育資金を作ることを目的に、子供が生まれたタイミングで「学資保険」の加入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
毎月決まった日付に決まった金額が引き落としされて、自動的に貯金していくことが保険商品の特徴と言えますが、子供の教育資金として
- 学資保険の加入だけで本当に足りるのでしょうか?
- 学資保険は教育資金を貯めるには最善な方法なのでしょうか?
と実は知らずに加入されている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、子供の学資保険に加入されているIさまの相談実例を踏まえて、そもそも教育資金はいくらかかるのか、学資保険でいくらの資金を作れるのか、子供の保険を考えるときの選択肢は学資保険で合っているのかなどについて書いていきますので、子供の教育資金について悩まれている方は、ぜひ最後までお読みください。
1、そもそも子供の教育資金はいくらかかる?学資保険の必要性は?
まず最初に子供の教育資金は果たしていくらかかるのかについて把握しておきましょう。
(1)大学まで通った場合は1,000万円超え?
日本政策金融公庫の平成30年度の調べによると、高校の費用(入学費用・在学費用)は3年間で237.4万円(国公立・私立を合わせた全体の平均)がかかるようです。
その後、大学進学をして高校・大学を合わせた総額の費用は国公立大学だと776.7万円、私立大学文系だと968.2万円、私立大学理系だと1064.1万円がかかってきます。
また、自宅外通学者への仕送り額は、年間平均90.8万円(月額7.5万円)となっているため、4年間自宅外から通学した場合、上記の金額に363.2万円がプラスで必要になってきます。
つまり、全て公立の学校通うにしても1,000万円超えがかかると言えます。
(2)学資保険の金額はいくら?学資保険は貯金に適してない?
ソニー生命の「子どもの教育資金に関する調査2018」では子供の進学費用のための備えとして、1ヶ月あたりの平均支出額としては15,437円ということでした。
1.5万円を子供が18歳になるまでに積み立てると324万円になります。たとえ返戻率105%だったとしても350万円にもなっていない状況です。
学資保険を活用して貯金する、学資保険の控除にて節税効果があると考えている方もいると思いますが、上記に記載したように、大学まで全て公立の学校に通ったとしても、学費は1,000万円を超えるの計算になります。つまり、日本の学資保険で積み立てる金額は、教育資金というよりも受験費用や入学費用、自宅外通学であれば引っ越し費用に充てることしかできず、教育資金としては当てにならないのです。
また節税も控除を活用して年間わずか4万円程度になります。
従って、結論から申し上げますと教育資金を作ることが目的でしたら、学資保険ではその目的を達成することができないため、加入する必要がないと言えます。
(3)学資保険の相談は誰にする?教育資金を貯めるには資産形成する必要がある
学資保険で教育資金を作れないのであれば、どうすればいいでしょうか?
それは「資産形成」です。貯蓄に向いている金融商品を加入することです。
そもそも保険には責任準備金という保険会社が将来の保険金給付や解約返戻金支払い等に充てるために積み立てておく準備金を作る必要があるため、払い込んだ保険料をすべて運用に回らないという性質があるため、貯蓄には向いていないのです。
具体的にどのようなプランで教育資金を作るのかについて、下記I様の実例を例にご紹介したいと思います。
2、Iさまが現在加入している学資保険の内容は?
Iさまはお子様に大学に行ってほしいということでしたので、大学の学費まで準備するという前提になっています。
Iさまはご自身や奥様、お子様の保険は会社に営業に来ていた方から加入をしたため、保険会社同士の比較やそもそも保険と他の金融商品の比較をしないまま加入してしまっていたということだったので、現在の保険の見直しをしたいというご依頼でした。
現在ご加入中の証券を確認したところ、Iさまのお子様が現在加入しているのは下記の学資保険でした。
- 学資保険:約4.6万/月
5年間で支払いが終わり、総額約270万円の支払いに対して、18年後に返ってくる保険金額は300万円という商品でした。
つまり、お子様を大学まで通わせたいと思われているIさまにとっては、この学資保険の保険金額は教育資金として到底足りない金額であることは一目瞭然でした。
では仮にIさまは同じ払込期間、金額で世界平均金利の5%の金融商品に加入した場合、18年後にはおよそ600万円の積立金を得ることができるという計算になります。
そもそも270万円払い込んだものに対して、18年後の300万円を得られたとしても、年々に進んでいるインフレにより、物価上昇を加味するとむしろ価値としては目減りしてしまう可能性さえあります。
3、Iさまの属性
Iさまの属性は下記のとおりです。
- 30歳
- 不動産会社勤務
- 年収500万円程
4、私からIさまへの提案内容
そこでIさまのご属性を踏まえて、 I様の意向をヒアリングさせて頂いた結果、下記のプランを提案させていただきました。
- (1)積み立て投資(積み立て):100,000円/月
- (2)終身保険(積み立て):約10,000円/月
- (3)医療保険(掛け捨て):約4,500円/月
教育資金は貯蓄に適している商品を選ぶとして、子供の万が一に備えて、終身保険・医療保険を持ちながら将来的には保険をプレゼントするという考え方です。
(1)積み立て投資(積み立て):100,000円/月
こちらの商品は世界平均金利の5%を狙っていく金融商品です。
こちらの貯蓄性に強い金融商品が学資保険の変わりを担う形になります。
保険とは異なり掛け金のすべてが運用に回るため、保険と同じ利回りでも結果に大きな差が生まれてきます。
Iさまはお子様を3~4人欲しいということでしたので、今から貯蓄習慣を付け、お子様の教育費用をしっかりカバーできるようなプランになっております。
また、子供が社会人になったあとは、ご夫婦の老後資金に回せるようになっております。
(2)終身保険(積み立て):約10,000円/月
終身保険に関しては死亡・高度障害だけではなく、三大疾病にも対応できる保障範囲の広いものを準備させていただきました。
子供が20歳になるまでに亡くなることや三大疾病になるリスクは極めて低いですが、成人した時点で一生涯の保障を持てるということと、早く始めれば始めるほど保険料が圧倒的に安いことがポイントになります。
総額の払込保険料が約200万円に対して約800万円の保障が一生涯持てる商品となっております。
(3)医療保険(掛け捨て):約4,500円/月
医療保険に関しては、医療技術の進歩による短期入院の方向性を視野に入れ、入院日額を下げることにしました。その分短期入院に対応する為、入院一時金を上げる設計とさせていただきました。
プレゼント保険ということを意識し、90歳まで5年ごとに10日以上の入院がなければ、健康祝金として5万円が返ってくる保険です。これは子供が成人した後に契約者を変更した場合、5年ごとに健康でいてくれてありがとうという思いを保険に乗せて親の愛情を届けるというものです。これが90歳まで続く形になっております。
総額の払込保険料が約110万円に対して、仮に10日以上の入院が90歳までなければ健康祝金だけで90万円は返ってくるという商品です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
子供の教育費用を作るには学資保険ではなく、貯蓄に強い金融商品で準備するという提案になります。
大学費用の一部を賄うために学資保険をするのではなく、大学費用すべてをしっかり賄い、余った資金に関しては老後の費用など自由に使える資産を形成していくことができます。
なお、生命保険に関しては子供のプレゼント保険というご両親の愛情を保険に乗せる形での提案をさせていただきました。
総額の払込保険料に対しての保障の手厚さについてもご理解頂けたのではないでしょうか。
保険料の払込を早い段階で終わらせることにより、保険会社がそのお金を運用に回す期間が長いということもポイントです。
「餅は餅屋」という言葉にもあるように保険は保障、貯蓄は貯蓄に強い金融商品でしっかり作っていくという考え方になります。
子供のために保険や教育費用を考えられている方は、ぜひ一度相談してみるのはいかがでしょうか。